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繁忙期と閑散期がある会社の場合のフレックスタイム制

前回のあらまし

ケース
J菓子店は自粛疲れで疲弊している社員のためにフレックスタイム制を導入することにしたが、どういう内容のフレックスタイム制にして、どのような手続きをとればいいのかわからなった。そこで、Y人事部長はZ弁護士に相談した。

【Z弁護士】:「J菓子店は時期的に繁忙期と閑散期がありますか?」

【Y人事部長】:「やはり12月のクリスマス時期、2月のバレンタインの時期は忙しいです。」

【Z弁護士】:「なるほど。3ヶ月単位の清算期間を設けるフレックスタイム制を導入するといいでしょう。」

【Y人事部長】:「清算期間?どういうことでしょうか?」

(1)清算期間とは?

フレックスタイム制を導入した場合時間外労働に関する取扱いが通常とは異なることになります。1日8時間・週40時間以上 労働したとしても、ただちに時間外労働とはなりませんし、逆に、1日時短勤務したとしてもただちに欠勤となるわけではありません。
では、どのような場合に時間外労働となるのかというと、それは、清算期間内の法定労働時間の総枠を越えた場合です。たとえば、3ヶ月を清算期間とした場合には、
  • 3ヶ月全体で週平均40時間に収まること
  • 1ヶ月ごとの平均した労働時間が週50時間 をこえないこと
という二つの基準を満たす必要があります。

フレックスタイム制例

参照:厚生労働省「フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き」

(2)3ヶ月を清算期間とするメリットは?

清算期間は、従来、1ヶ月以内とされていましたが、改正によって3ヶ月を精算の期間とできるように改正しました。この改正によってJ社は次のようなことが可能になります。
  • 12月はクリスマスで忙しいので所定労働時間のラインを越える。
  • しかし、1月はそれほど繁忙期ではないから所定労働時間のラインを越えない。
  • 2月もまたバレンタインデーがあることから所定労働時間のラインを越える。
そこで、12月と2月の超過分を1月の不足分でいわば“ならす”ことができる。こうすれば、割増賃金を支払うこと必要が無いことになります。

部門ごとに忙しさの性質が異なる場合のフレックスタイム制

ケース

【Z弁護士】:「閑散期でもこの時間帯に人手が欲しい部門はありますか?」

【Y人事部長】:「やはり事務スタッフは電話対応がありますので会社にいてほしいです。」

【Z弁護士】:「なるほど。それでは、営業やパティシエを対象としてフレックスタイム制を導入した方がいいですね。ただし、それでは事務スタッフに不平等感が生じかねないので、事務スタッフは極力定時で帰してあげるように配慮しなければいけません。

【Y人事部長】:「なるほど……そうですよね。」

フレックスタイム制を導入する場合、対象となる労働者の範囲を設定することができ、合理的な労務管理をすることができます。もっとも、それによって職場内に不公平感が生じることもあります。そのため、不平等が生じないように全体の調和が必要になります。

どうやって導入すればいいのか?

フレックスタイム制を導入するためには、最大で4つのステップが必要になります。
  • 就業規則などへの規定
  • 就業規則を所轄労働基準監督署長に届出
  • 労使協定で所定の事項を定めること
  • 労使協定を所轄労働基準監督署長に届出(清算期間が1ヶ月を越える場合)
です。 労使協定締結の際に、対象となる労働者の範囲、清算期間等を設定することになります。やはりここは重要なところですので、労使で十分に話し合う必要があります。そのときに労働者に納得のいく説明ができる必要があります。

まとめ

コロナ禍で柔軟な働き方を認める企業が増えています。その中で旧態依然の働き方をつづけていれば会社の魅力は落ちてしまうことでしょう。いい人材にいてもらう、いい人材を勝ち取るためにはやはりフレックスタイム制の導入は不可欠です。
もっとも、フレックスタイム制は複雑な制度です。使用者の理解不足があれば思わぬところで割増賃金を支払う必要が出てくる場合がありますし、労働者との調整がうまくすんでいなければ不平・不満が溜まりかねません。
こうしたトラブルが起こらないよう、転ばぬ先の杖のためにぜひ弁護士にご相談ください。


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