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ストレス・メンタルヘルス対策

ケース
人材派遣を事業として行うJ社では、営業部の先輩A(入社7年目)と後輩B(入社1年目)の関係に悩んでいた。

【X人事部長】:「報告によると、営業部のBの様子がおかしいということだが、今どういう状態なんだ?」

【Y営業課長】:「はい。Bは、指導担当Aからの叱責を恐れて、相談や報告をすることに消極的になり、そのためにミスが起こるという悪循環に陥っているそうです。欠勤も多く、どうもうつ病ではないかという噂です。」

【X人事部長】:「AはBに対して何をしたんだ?」

【Y営業課長】:「Aは、朝礼で全員が見ている中でBを日常的に怒鳴りつける、製品の特徴をBに説明することなくいきなり営業させてできなかった場合には叱りつける,『そんなことだからお前はいつまで経っても結婚できないんだ』等と言って叱るといったことを日常的にやっていたそうです。」

以上の経緯で、X人事部長はZ弁護士に相談した。

【Z弁護士】:「パワハラは最近増加している労務トラブルで、それを受けて、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実などに関する法律の改正で、いわゆるパワハラ防止法が制定されました。大企業は2020年6月1日から、中小企業は2022年4月1日からそれぞれ施行されることになりますので、今後も注意が必要な領域です。今回の件への対処としては、① パワハラ加害者Aの処遇、② パワハラ被害者Bへの処遇についてアドバイスさせていただきます。」

1.パワハラとは?

パワハラ防止によって、職場におけるパワハラは以下の①~③の要件を満たすものと定義されました。
①優越的な関係を背景とした言動
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
③労働者の就業環境が害されるもの
ケースの事実をもとにすると、以下のとおり整理できます。
① Bは、まだ営業部に配属されたばかりで一人では仕事をすることができず、Aが指導していた。そのため、BはAの協力がなければ業務を遂行できない状態だったこと
② Bは、入社1年目で営業の経験が無く、指導担当Bが説明していない状況において、いきなり成功させることを求めるという過大な要求をされたこと、結婚という私的な領域に立ち入った上で人格を非難されたこと、他の従業員も見ている朝礼の場でBを日常的に怒鳴りつけたこと
③Aからの叱責をおそれてうまく仕事ができず、ケアレスミスが頻発するようになったこと これらの事情にかんがみると、Aの行為はパワハラに該当する可能性が高いです。

2.パワハラ加害者をどう処遇するか?

パワハラ加害者に対しては、懲戒処分を行うこと、人事異動することが考えられます。

(1)懲戒処分をするときに留意すべきことは?

たとえば、Aを今回の件で懲戒処分とする場合には
  • 懲戒事由の存在:就業規則に定められた懲戒事由にあたる事実が認められること
  • 手続き:懲戒処分に先立って、パワハラ加害者に弁明の機会を与えるなど就業規則に定められた手続を踏むこと
  • 処分の相当性:行ったパワハラに対して重すぎる処分をあたえないこと
に気をつけなければいけません。もっとも、事実が認められるかどうか、どのようなヒアリングをすべきか、どの程度の処分が妥当か……といったもろもろのことについて適切に判断することは非常に難しいため、弁護士などの専門家に相談せず会社内部のみで判断してしまうことは危険です。(2)人事異動をするときに留意すべきことは?
 パワハラ被害者が加害者と同じ職場で就労し続けることが困難な場合には、加害者を他の部署へ人事異動することで対応できます。懲戒処分と比べるとより緩やかな手段です。
 ただし、
  • 業務上の必要性
  • 転勤命令が他の不当な動機・目的をもってなされたものであるとき
  • 労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるとき
には転勤命令が違法・無効となります。とくに気をつけるべきは、加害者Aに負わせることになる不利益です。転勤によって、育児・介護が困難になるといった事情があるかヒアリングしなければいけません。

3.パワハラ被害者をどう処遇するか?

Bに対する処遇として考えられるのは、人事異動を行うことです。Bの人事異動を行わずに就労させつづけることもできますが、仮にBがうつ病になった、さらには自死してしまったという場合には、安全配慮義務違反を理由とした損害賠償請求をされるリスクがあります。
また、Bが休職を申出たときにも気をつけなければならない点があります。

(1)人事異動するときに留意すべきことは?

基本的に、加害者を人事異動するときと同じですが、たとえば、加害者には懲戒処分または人事異動せずに、被害者のみを人事異動にするといった措置は、加害者と被害者の取り扱いのバランスを欠いているので、争いの火種を生む危険があります。

(2)休職中の対応として留意すべきことは?

休職中は、その従業員に療養に専念してもらわなくてはいけませんし、企業としては、その期間はその従業員がどのような生活をして、その傷病はどのような状態になっているのか把握しておかなければなりません。そのため、就業規則に、
  • 療養に専念する義務があること
  • 休職中の連絡・報告
  • 定期的な診断書の提出
  • 休職期間中の出勤
について定めておく必要があります。

4.まとめ

パワハラは、個人間のトラブルではなく、人材の流出、訴訟を含むトラブル対応のコスト、職場全体の指揮の低下を招き、労働生産性を低下させるものです。したがって、まずはパワハラ防止柵を講じる必要がありますが、労務に関する専門知識が必要になります。パワハラが起こってしまっ段階でも、パワハラにあたる事実を認定できるか、「指導」がパワハラにあたるレベルなのかといった面において専門知識が必要です。
パワハラでお悩みの経営者の方はぜひ、弊所にご相談ください。


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