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テレワーク

ケース
J商事は、新型コロナウィルス対策及び介護・子育て離職の防止のためにテレワークを導入しようとしていた。

【X社長】:「私は正直IT系に疎い。テレワークを導入すると具体的にどうなるんだ?そもそもテレワークとは何なんだ?」

【Y人事部長】:「テレワークとは、情報通信技術を利用して、働く場所を事業所に限定しない働き方をいいます。たとえば、Aは、小学生の子の通院が定期的に必要で、通院がある日は、自宅―病院―Aの小学校―会社の移動の負担がつらいと聞いていますが、テレワークできるようにすれば、そうした移動の負担がなくなります。

【X社長】:「しかし、働くイメージがつかない。どういった感じなんだ?」

【Y人事部長】:「たとえば、① テレワークのAさんが自宅で資料を作成し、クラウドサービスにアップロードする。②アップロードされたデータを出社中のBさんが確認する。③スカイプ、チームズ、チャットワークといったアプリケーションを用いてAさんとBさんが話し合いながら資料をクラウド上で共同編集するといった働き方になります。」

【X社長】:「同じ資料を同時に見て、顔をあわせながら編集できる、ということか。とりあえず、顧問料を支払っていることだし、使わないことには損だ。顧問弁護士のZ先生に相談しておこう。」

以上の経緯で、X社長とY人事部長は顧問のZ弁護士に相談した。

【X社長】:「テレワークを導入しようとしているところです。しかし、いかんせん、何をどうすすめていいのか見当がつかず、今日相談に来ました。」

【Z弁護士】:「わかりました。それでは、制度設計時・運用時の注意点をご説明しますね。」

1.制度設計時・運用時の注意点

(1)テレワークのメリット・デメリットは?

以下の通りになります。テレワーク導入時は、これらのデメリットが顕在化しないように制度設計することが大切です。
使用者 【メリット】
介護・子育て離職の防止・人材の多様化
オフィススペースに必要な経費や通勤手当の削減
災害・感染症対策
【デメリット】
労働時間管理・人事評価が困難 セキュリティの対策が必要
労働者 【メリット】
介護・子育てをしながら働ける 通勤時間を削減できる
【デメリット】
在宅では集中力が持続しづらい 仕事と私生活の区別がつきにくくなり、働き過ぎてしまう

(2)バランスのとれた制度設計を行うこと!

J商事のようにテレワークを育児・介護離職という目的のために導入するという場合、対象となる労働者を「育児・介護の必要性がある者」と限定し、就業場所に自宅を加えることが考えられます。
しかし、そうすると、テレワークの対象とならない労働者には不公平感が生じることになります。実際、先の緊急事態宣言下においては、出勤者は電話対応の負担があるのに、在宅者は電話対応の負担がない……という不満が生じた企業もあるそうです。
そこで、テレワークの回数に上限を設けること、テレワークの目的をワークライフバランスの実現として対象となる労働者の範囲を広げることによって対処することになります。
テレワーク導入の際は、このようにバランスのとれた制度作りが必要になります。そうしなければ、導入したとしても、他の人の視線が気になってテレワークできない…といった本末転倒な結果になりかねません。

(3)働きすぎに対処すること!

テレワーク時の問題点として、仕事と私生活の区別がつきにくくなり、働き過ぎてしまうということがあります。そのため、
  • システムへのアクセス制限
  • テレワークを行う際の時間外・休日・深夜労働の原則禁止
  • メール送付の抑制
  • 労働者への注意喚起

(4)中抜け時間への対処

テレワークは、子の通院の付添い、介護が必要な親の送迎などで中抜け時間―労働者が労働から離れる時間が生じやすいです。そこで、テレワークにあわせて以下の制度も導入することが考えられます。
  • フレックスタイム制の導入
  • 時間単位の年次有給休暇の導入 ※ 労使協定の締結が必要
  • 中抜け時間を休憩時間として扱い、終業時刻を繰り下げる ※ 就業規則に記載が必要
  • 労働者への注意喚起

テレワーク時の中抜けの取扱例

参照:厚生労働省「テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン」

中抜け時間をとりやすくすることで、労働者のワークライフバランスを高め、会社に対する貢献度を高める効果を期待できます。

(5)テレワークでパフォーマンスが落ちた労働者をどうするか?

テレワークは事業所での労働とは異なって集中力が持続しづらいといわれており、テレワークでパフォーマンスが落ちる労働者も出てきます。この場合、人事権の行使としてテレワークから事業場勤務に変更して対処することになります。 しかし、労働者の家族の状態や家族構成によっては、人事権の濫用として違法・無効となるリスクがありますので、弁護士にご相談のうえで決定される方が無難です。

2.まとめ

テレワークは、労使双方にメリットをもたらす制度です。しかし、会社の実情にあわせた制度設計+労働者の個性にあわせた運用をしなければ思わぬトラブルが生じたり、テレワークが十分に活用されない、デメリットが顕在化するといった事態に陥ってしまいますので、ぜひ弁護士にご相談ください。


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