中小企業経営者 なるほど!Q&A Vol.5
前回までのあらすじ
異業種交流会で出会った建設業の菱沼さんから、従業員の中で制服をきちんと着用しない人がいるため、そういった従業員には、法律的にどこまで踏み込んでいいのかという質問を受けた顧問大弁護士でしたが、いったいどのような対応措置をとることができるのでしょうか。
登場人物

御所見さん
藤沢市で小売業を営む

高田さん
藤沢市で建設業を営む

菱沼さん
藤沢市で建設業を営む

弁護士 顧問 大
中小企業経営者の集いに参加している、自らも経営者の弁護士
制服をきちんと着用しない従業員がいるんだけど・・・

制服をキチンと着ないとだらしないですよね。若い人なんですか?

そうなんですよ。中堅社員なんですよ。べつにださいとは思わないんですが、暑くもないのに、ネクタイ緩めたり、こまりますねぇ。

菱沼さんの会社は、ホテルとかタクシーとか高級レストランですか?あとは、ヘルメットをかぶったりするような安全上、制服をきちんと着用しないといけない会社とか?

湘南にあるホテルなんですけどね。クレームにはなっていないんですが、お客さんがホテルに対して持っているイメージを壊すというか、評価や信用を左右しそうな問題ではありますね。

まずは口頭で注意をして、それでもだめなら文書による注意、それでもだめなら懲戒処分とだんだんハードルを上げてくのがいいかもしれませんね。

あとは、私の経験でいうと、放置しないのが大切ですね。

御所見さんのおっしゃるとおりです。しばらく放置すると慣れちゃいますね。注意をすれば「なぜ今更」と思うかもしれません。

ひげはどうですか?

ハイヤー運転手のひげについて争われた事件で、裁判所は、ひげは個人の自由である旨判示しています(東京地判昭和55年12月15日 民労31巻6号1202頁・イースタン・エアポート事件)。例えば、どういうひげの人がいるんですか?

フランスの大泥棒の三世が主人公のアニメに出てくるガンマンのひげみたいにワイルドなんですよ。私もかっこいいなと思ってしまいます。

それはワイルドですね。ハイヤーの運転手の口ひげ規制について裁判所は、「ことにハイヤー営業のように多分に人の心情に依存する要素が重要な意味をもつサービス提供を本旨とする業務においては、従業員の服装、みだしなみ、言行等が企業の信用、品格保持に深甚な関係を有するから、他の業種に比して一層の規制が課されるのはやむを得ない」とし、禁止されるのは「無精ひげ」や「異様、奇形なひげ」などに限られると判示しました。

業種や内容にもよるけど、ガンマン風のひげが異様・奇形かどうかって、ところですかね。その人はホテルの何の係なの?

夜間の清掃・・・お客様とは直接会わないから、問題ないか?でも、昼間の従業員にはうるさく言ってるから、難しいなぁ。

弁護士からいえるのは、担当業務や会社経営に悪影響を及ぼすような場合には、就業規則に明確な定めがなくても、注意はできるけれども、従業員がそれに応じない場合には、就業規則で明確に定めるのがよいですね。
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